TikTokで著作権違反になる代表的なケースは、「CD・カラオケ音源をそのまま使う」「アプリ外から無断で楽曲を取り込む」「テレビ・アニメ・映画の映像を転載する」「ビジネスアカウントで一般の楽曲を使う」の4つです。TikTokはJASRAC・NexToneと包括契約を結んでいるため、アプリ内で提供される音源は個人利用なら原則安心して使えます。一方で、契約がカバーしない「原盤権」や「商用利用」の領域に踏み込むと、音声ミュートや動画削除、最悪の場合はアカウント停止につながります。
特に2025年7月25日のMusic規約改定以降は、企業・ビジネスアカウントが使える楽曲は「商用楽曲ライブラリ(Commercial Music Library)」に原則制限されており、従来の感覚のままで運用すると違反リスクが大幅に上がっています。この記事では、TikTokで著作権違反になる具体的なケースと、違反せずに音源を使う方法を2026年の最新ルールに沿って解説します。
【結論】TikTokの著作権はこの3点を押さえればOK
細かいルールに入る前に、まず全体像を整理します。TikTokの音楽著作権は、次の3点を押さえておけば大きく間違えることはありません。
- 個人アカウントは、アプリ内の楽曲ライブラリの音源だけを使う:TikTokが権利処理済みの音源なので、通常の投稿であれば著作権を気にせず使えます。
- 企業・ビジネスアカウントは、商用楽曲ライブラリ(CML)の音源だけを使う:2025年7月の規約改定で、企業利用はCML収録曲に原則制限されました。
- アプリの外から音源・映像を持ち込まない:CD音源・カラオケ音源・テレビやアニメの録画などを自分でアップロードする行為は、権利処理の対象外なので違反になります。
「アプリ内で完結させれば安全、外から持ち込むと危険」というのが大原則です。では、なぜそうなるのかを著作権の仕組みから見ていきましょう。
TikTokの音楽著作権の仕組み|JASRAC包括契約と「原盤権」の違い
TikTok(運営元ByteDance)は、日本の著作権管理団体であるJASRACおよびNexToneと包括的な利用許諾契約を締結しています。この契約により、両団体が管理する楽曲の「著作権(作詞・作曲者の権利)」については、ユーザーが個別に許諾を取らなくてもアプリ内で利用できる状態になっています。
ここで重要なのが、音楽には「著作権」と「原盤権(著作隣接権)」という2つの権利があるという点です。著作権は作詞家・作曲家の権利、原盤権はその楽曲を録音したレコード会社やアーティスト側の権利で、JASRACやNexToneは原盤権を管理していません。
| 権利 | 誰の権利か | TikTokでの扱い |
|---|---|---|
| 著作権 | 作詞家・作曲家 | JASRAC・NexToneとの包括契約でカバー |
| 原盤権 | レコード会社・実演家 | TikTokがレコード会社と個別に契約した音源のみ利用可 |
アプリ内の楽曲ライブラリにある音源は、TikTokがレコード会社と契約して原盤権まで処理済みです。一方、CD音源やカラオケ音源を自分で録音・アップロードすると、原盤権の侵害になります。「アプリ内の曲はOK、同じ曲でもCDからの取り込みはNG」という一見不思議なルールは、この権利の二層構造が理由です。
TikTokで著作権違反になる6つの具体的なケース
実際に違反と判定されやすいケースを、よくある順に6つ紹介します。自社・自分の投稿に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
①CD・カラオケ音源をそのまま使う
最も多いのがこのパターンです。前述のとおり、CD音源・配信音源・カラオケ音源には原盤権があり、TikTokの包括契約ではカバーされません。カラオケで歌っている動画をそのまま投稿すると、背後に流れるカラオケ音源が原盤権侵害になる場合があります。「歌ってみた」を投稿したい場合は、アプリ内音源を使うか、自分で伴奏を演奏・打ち込みして録音する必要があります。
②アプリ外から楽曲を取り込む(BGMの後付け)
動画編集アプリで市販の楽曲をBGMとして付けてからTikTokにアップロードするケースです。アプリ内の楽曲ライブラリを経由していないため、権利処理がされておらず、著作権・原盤権の両方を侵害するおそれがあります。TikTokは楽曲IDや音声波形の自動検出システムを備えており、投稿直後に音声だけミュートされる原因の多くがこれです。
③テレビ・アニメ・映画・他人の動画の転載
音楽だけでなく映像にも著作権があります。テレビ番組・アニメ・映画・ミュージックビデオの切り抜きや、他のクリエイターの動画の無断転載は、映像の著作権侵害です。「数秒だけなら大丈夫」という俗説がありますが、利用秒数にかかわらず無断利用は侵害にあたります。
④JASRAC・NexTone管理外の楽曲を使う
すべての楽曲がJASRACやNexToneに管理を委託されているわけではありません。インディーズアーティストの楽曲や海外の一部楽曲は包括契約の対象外で、原則としてアプリ内で使用できないよう制限されています。管理状況はJASRACの「J-WID」やNexToneの作品検索データベースで確認できます。
⑤ビジネスアカウント・商用利用で一般の楽曲を使う
個人アカウントで使える一般の楽曲ライブラリは、あくまで「個人の非商用利用」を前提にライセンスされています。企業アカウントの投稿、商品PR、広告配信でアーティストの楽曲を使うと、たとえアプリ内音源でも商用ライセンス違反になります。企業案件(タイアップ投稿)をクリエイターの個人アカウントで投稿する場合も商用利用にあたるため、注意が必要です。詳しくは次の章で解説します。
⑥AI生成コンテンツを無表示で投稿する
2026年時点の新しい違反パターンです。AIで生成した楽曲や映像を含むリアルなコンテンツには「AI生成」ラベルの表示が義務付けられており、無表示の場合は強制ラベル付与や動画削除の対象になります。また、実在アーティストの声をAIで再現した「AIカバー楽曲」は、パブリシティ権や著作隣接権の侵害リスクがあり、プラットフォームの規制も強化されています。
【2025年7月改定】企業アカウントは「商用楽曲ライブラリ」が原則に
企業のSNS担当者に最も影響が大きいのが、2025年7月25日に施行されたTikTokの「Music利用規約」の改定です。この改定により、ビジネスアカウントおよび商用目的の投稿で使える楽曲は、「商用楽曲ライブラリ(Commercial Music Library、CML)」の収録曲に原則制限されました。
CMLは、TikTokが商用利用まで権利処理を済ませた楽曲カタログで、100万曲以上が収録されています。広告やLIVE配信でも追加費用なしで使える一方、次のような制限があります。
- 楽曲ごとに利用可能な「地域」や「業種」が設定されている(アルコール・金融など業種NGの楽曲もある)
- 楽曲の速度変更・リミックス・歌詞改変などの加工は禁止
- LIVE配信もアップロード動画と同じポリシーが適用され、著作権曲をBGMとして流す行為は不可
ビジネスアカウントで楽曲を選ぼうとして「この楽曲には商用利用のライセンスがありません」と表示されるのは、この制限によるものです。流行りの楽曲がCMLに入っていないことも多いため、企業アカウントの企画は「CMLで使える音源」を前提に設計するのが2026年の実務です。
CMLで使える楽曲の探し方
CML収録曲は、次の2つの方法で確認できます。
- アプリ内で確認する:ビジネスアカウントで投稿作成画面を開き、「楽曲を選ぶ」で表示される楽曲はCML収録曲です。個人アカウントとは表示されるラインナップ自体が異なります。
- TikTokの「Commercial Music Library」ページで検索する:ブラウザからジャンル・雰囲気・長さ・利用地域などの条件で絞り込んで検索できます。広告やLIVE配信で使う楽曲の事前選定に便利です。
楽曲を決めたら、その曲の利用可能地域と業種制限を必ず確認しましょう。日本では使えても他国では使えない楽曲を海外向けアカウントで使うと、ミュートの対象になります。
「音源が使えない・消えた」ときの原因と対処法
「昨日まで使えた音源が選べない」「投稿したら音だけ消えた」というトラブルは、多くの場合、次のいずれかが原因です。
| 症状 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 楽曲が選べない・「商用利用のライセンスがありません」と表示 | ビジネスアカウントのためCML外の楽曲が制限されている | CML内の楽曲から選ぶ。個人利用ならアカウント種別を確認 |
| 投稿後に音声だけミュートされた | 自動検出システムが権利未処理の音源を検知 | 該当音源を使った部分を差し替えて再投稿。異議がある場合は申し立て |
| 過去動画の音源が突然消えた | 楽曲のライセンス期限切れ・提供終了 | アプリ内の別音源に差し替え |
| 特定の楽曲だけ使えない | JASRAC・NexTone管理外、または地域制限 | J-WID等で管理状況を確認し、使える楽曲を選ぶ |
気を付けたいのは、知らないうちにビジネスアカウントに切り替わっていて使える楽曲が減っているケースです。アカウント種別は「設定とプライバシー」→「アカウント」から確認・変更できます。ただし、実態が商用利用なのに個人アカウントに切り替えて一般楽曲を使う行為は規約違反になるため、避けましょう。
著作権違反した場合のペナルティ
TikTokで著作権侵害と判定された場合、違反の程度に応じて段階的なペナルティが科されます。
- 音声のミュート:動画は残るが音声だけ再生されなくなる。自動検出による最も軽い措置
- 動画の削除:ガイドライン違反として動画自体が削除される
- 機能制限・リーチ制限:投稿やLIVE配信の一時停止、おすすめ表示の制限
- アカウント停止(BAN):違反を繰り返した場合の永久停止。積み重なった違反は削除できない
さらに、プラットフォーム上の措置とは別に、権利者から法的措置を受けるリスクもあります。著作権侵害は刑事罰の対象で、個人では10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(またはその両方)、法人では3億円以下の罰金が定められています。「バレなければ大丈夫」で済む問題ではないことを押さえておきましょう。
著作権に引っかからずに音源を使う5つの方法
ここまでの内容を踏まえて、安全に音源を使う方法を個人・企業共通で整理します。
①アプリ内の楽曲ライブラリから選ぶ(個人アカウント)
個人の非商用投稿であれば、アプリ内の楽曲ライブラリの音源をそのまま使うのが最も安全です。TikTokが著作権・原盤権とも処理済みのため、個別の許諾は不要です。
②商用楽曲ライブラリ(CML)から選ぶ(企業・商用利用)
企業アカウント・商品PR・広告はCML収録曲が原則です。楽曲ごとの地域・業種制限を投稿前に確認するフローを社内に組み込みましょう。
③著作権フリー・ライセンス購入済みの音源を使う
フリーBGMサイトや有料の音源ライセンスサービスを利用する方法です。ただし「フリー」という言葉を鵜呑みにするのは危険です。利用前に次の3点を確認しましょう。
- 商用利用の可否:個人利用は無料でも、企業利用は有料ライセンスが必要なサイトが多くあります。
- クレジット表記の要否:作者名やサイト名の表記が利用条件になっている場合、キャプション等への記載が必要です。
- 改変・加工の可否:カット編集やテンポ変更が禁止されている音源もあります。
また、フリー音源サイトの中には第三者の楽曲を無断で「フリー素材」として配布している悪質なケースもあります。運営元が明確な大手サイトを選ぶことも、リスク回避のポイントです。
④自分で作曲・演奏したオリジナル音源を使う
自作の楽曲・演奏なら権利は自分にあるため、最も自由度が高い選択肢です。オリジナル音源が他のユーザーに使われれば、楽曲経由での認知拡大も期待できます。
⑤権利者から直接許諾を得る
どうしても特定の楽曲を商用で使いたい場合は、レコード会社・音楽出版社に問い合わせて利用許諾(シンクロライセンス等)を取得する方法があります。費用と時間はかかりますが、キャンペーンの核となる楽曲がある場合には検討する価値があります。
投稿前に確認したい著作権チェックリスト
ここまでの内容を、投稿前に確認できるチェックリストにまとめました。企業アカウントの場合は、このチェックを投稿フローに組み込むことをおすすめします。
- 音源はTikTokアプリ内(商用利用ならCML)から選んだか
- アカウント種別(個人/ビジネス)と楽曲のライセンス範囲は一致しているか
- CML楽曲の場合、利用地域・業種制限を確認したか
- 動画内にテレビ・アニメ・他人の動画など第三者の映像が映り込んでいないか
- フリー音源を使う場合、商用利用・クレジット表記・改変の条件を確認したか
- AI生成コンテンツを含む場合、「AI生成」ラベルを設定したか
- タイアップ投稿の場合、ブランドコンテンツ表示を設定したか
迷ったときは「この音源・映像の権利処理は誰がしてくれているのか?」と考えるのが近道です。答えられない場合は、その素材は使わないのが安全です。
TikTokの著作権に関するよくある質問
Q1. アプリ内の音源なら何に使ってもいいの?
個人の非商用投稿なら原則OKです。ただし企業アカウントや商品PRなどの商用利用は、商用楽曲ライブラリ(CML)の楽曲に限られます。
Q2. カラオケ音源で「歌ってみた」を投稿するのはOK?
カラオケ音源には原盤権があるため、そのまま投稿すると侵害になるおそれがあります。アプリ内音源を使うか、自分で演奏・打ち込みした伴奏で歌いましょう。
Q3. 数秒の切り抜きなら著作権違反にならない?
いいえ、違反になります。利用秒数の長短にかかわらず、無断利用は著作権侵害にあたります。「10秒以内ならセーフ」といった俗説に根拠はありません。
Q4. 投稿したら音だけ消えた。どうすればいい?
自動検出システムが権利未処理の音源を検知した可能性が高いです。アプリ内音源やCML楽曲に差し替えて再投稿しましょう。誤検出だと考えられる場合は、アプリ内から異議申し立てができます。
Q5. 企業案件をクリエイターの個人アカウントで投稿する場合は?
タイアップ投稿は商用利用にあたるため、一般の楽曲ライブラリの楽曲は使えません。CML楽曲・許諾取得済み楽曲・オリジナル音源のいずれかを使い、ブランドコンテンツ表示も忘れずに設定しましょう。
Q6. AIで作った楽曲は自由に使える?
AI生成楽曲でも、実在アーティストの声や既存楽曲に酷似したものは権利侵害のリスクがあります。また、リアルなAI生成コンテンツには「AI生成」ラベルの表示が義務付けられており、無表示は削除等の対象になります。
まとめ|ルールを味方につけてTikTokを安全に運用しよう
TikTokの著作権は、「アプリ内で完結させる」「商用利用はCMLから選ぶ」「外部から音源・映像を持ち込まない」の3原則を守れば、過度に恐れる必要はありません。むしろ2025年以降はルールが明文化されたことで、正しく運用する企業・クリエイターにとっては安心して音源を活用できる環境が整ったともいえます。
一方で、Music規約やAIコンテンツ規制は更新が速く、社内だけで最新ルールを追い続けるのは簡単ではありません。TORIHADAは、TikTokをはじめとするショートムービー・プラットフォームの公式パートナーとして、規約に準拠したアカウント運用・キャンペーン設計・クリエイターキャスティングを支援しています。「この企画、著作権的に大丈夫?」という段階からでもお気軽にご相談ください。


