ライブコマースで在庫を売り切る仕組み——90時間で1億円・6時間で500万円の舞台裏



倉庫に積み上がった在庫を見るたびに、胃が痛くなる——そんな経験はないだろうか。

季節が変わるたびに発生する余剰在庫。訳アリ品の山。賞味期限が迫る食品。値下げして売ろうとしても利益が削られ、廃棄すれば損失が確定する。長年、メーカーや卸業者、農家・漁師が抱えてきた「在庫問題」に、まったく新しい出口が生まれている。それがライブコマースだ。

アパレルメーカーの倉庫から約6時間のライブ配信で500万円以上を売り上げた事例。90時間の連続ライブで約1億733万円・39,430点を完売した事例。数字だけ見ると「本当に?」と目を疑うかもしれないが、これはすべて日本国内で起きた実話だ。

この記事では、ライブコマースがなぜ在庫を「売り切れる」のか——その仕組みと心理的メカニズム、そして実践的な活用法を徹底解説する。

すでにTikTok Shopで在庫処分が”数分で完売”する3つの理由訳アリ品・過剰在庫の出口はSNSにあったでもSNS在庫処分の全体像を解説してきたが、本記事はライブコマースの「仕組み」に特化して深掘りする。

目次

倉庫から6時間で500万円——ライブコマースが在庫処分を変えた現実

2021年夏、株式会社shoichiはあるアパレルメーカーの倉庫の中からライブ配信を実施した。約6時間の配信で視聴者数1万人超を集め、1回目は400万円超、2回目は500万円超の売上を記録。倉庫の棚に積み上がっていた余剰在庫が、カメラ一台とインターネット回線だけで消えていった。

これは特殊なケースではない。TikTokショッピングを支援する株式会社いつもが2025年12月、単月でTikTok Shopを中心としたソーシャルコマースのGMVが10億円を突破した。美容ブランドKYOGOKU JAPANは1回のライブ配信で5,700万円を売り上げ、1週間の累計では約1億円に達した。

そして冒頭で紹介した「ぞうねこちゃんねる」の事例。2025年のブラックフライデー期間(11月)に90時間の連続ライブを実施し、GMV1億733万6,153円・39,430点完売・総視聴者97万858人という記録を打ち立てた。単純計算でライブ1時間あたり約119万円の売上だ。

なぜこんなことが可能なのか。答えは「ライブコマースの構造」にある。

通常のEC(ネットショッピング)では、消費者は商品ページを見て、スペックを比較し、レビューを読んで、「今買うかどうか」を自分のペースで判断する。その結果、購入を先延ばしにしたり、他の商品と比較してそのまま離脱したりする。通常ECの平均コンバージョン率は2〜3%。100人が商品ページを見ても、購入するのはたった2〜3人だ。

一方ライブコマースでは、ホスト(配信者)がリアルタイムで商品を見せながら説明し、視聴者のコメントに答え、「残り在庫○点です」「今だけこのクーポン使えます」という形で購買を促す。この構造が、通常ECとはまったく異なる購買体験を生み出す。

ライブコマースで在庫を売り切るイメージ

「今すぐ買わなきゃ」——ライブコマースが引き起こす3つの購買心理スイッチ

ライブコマースが在庫を売り切れる理由は、視聴者の心理に働きかける3つのメカニズムにある。

① 緊急性——「今しか買えない」というFOMO(見逃し恐怖)

ライブ配信中に「残り在庫5点」「このクーポンはライブ中のみ」という表示が出ると、視聴者の脳内では「今買わないと機会を失う」という焦りが生まれる。これをFOMO(Fear Of Missing Out:見逃し恐怖)と呼ぶ。

FoMO傾向の高い人ほど衝動買いをしやすいという研究データも存在する(大阪産業創造館調査)。ライブコマースはこのFOMOを意図的に活用することで、「後で考えよう」という先延ばし行動を防ぎ、その場での購買決定を促す。

在庫処分の観点から見ると、これは非常に強力な武器だ。「この訳アリ品は数に限りがあります。なくなり次第終了です」という一言が、値下げ以上の効果を発揮することがある。

② 希少性——「数量限定」が価値を高める

通常ECでは、在庫が大量にある商品は「いつでも買える」と思われ、購買意欲が下がりやすい。逆説的だが、「残り少ない」という表示が商品の価値を高める

ライブコマースでは在庫数をリアルタイムで見せることで、この希少性を演出できる。訳アリ品や過剰在庫を「限定放出」として打ち出す手法は、在庫を抱えるメーカーや農家にとって特に有効だ。捨てるしかなかった規格外農産物や、倉庫で眠る季節落ちの商品が、「今日限りの特別価格」として新しい価値を持つ。

③ 双方向性——「一対一に近い接客体験」が信頼を生む

ライブコマース最大の強みは、視聴者がリアルタイムでコメントを送り、ホストがその質問に答えられることだ。「これ、賞味期限はいつですか?」「農薬は使ってますか?」という個別の不安を即座に解消できる。

NTTコムリサーチの2023年調査によると、ライブコマース視聴経験者の54.8%が実際に購入しており、購入の決め手として「商品に詳しいコマーサーの説明による安心感」が47.5%(最多)を占めた。説明力と信頼性が購買に直結している証拠だ。

農家の方であれば、自分の畑から直接配信することで「生産者の顔が見える」安心感を届けられる。漁師なら水揚げ直後の魚をその場で見せながら売ることができる。これは通常ECには絶対に真似できないライブコマース固有の武器だ。

ライブコマースの購買心理と3つのスイッチ

CVR10倍以上の衝撃——通常ECでは届かない在庫消化速度の秘密

数字で見るとライブコマースの破壊力がよくわかる。

先述のとおり通常ECの平均CVR(コンバージョン率)は2〜3%。それに対して、ライブコマースの平均CVRは10%以上(Live kit調査)。期間限定セールとの組み合わせでは最大30%近くに達する事例もある。単純に見て、通常ECの約5〜10倍の効率で在庫が消化される計算だ。

韓国(海外データ)では、通常ECのCVRが0.37%に対し、ライブコマースのCVRは20%と報告されており、実に約55倍の差がある(KORIT調査)。市場環境の違いはあるものの、ライブコマースのポテンシャルを示す指標として重要だ。

中国(海外データ)のライブコマース市場規模は2023年に約4兆9,168億元(約98兆円)に達しており、中国EC全体の主要な柱となっている(PwC Japan調査)。日本市場でも2025年には市場規模が1,000億円を突破し、2026年には2,000億円超と予測されている(複数調査機関集計)。

世界全体ではGIIのレポートによると、2025年の256億3,000万ドルから2026年には317億9,000万ドルへ、年率24.0%(CAGR)で成長すると予測されている。

日本でも、メーカー・卸業者がTikTok Shopに商品を渡すべき理由で詳しく解説したように、TikTok Shopを中心としたSNSコマースが急速に普及している。

「スピード×規模」で在庫処分コストが激減

在庫を抱えるメーカーや卸業者にとって、在庫処分のコストは二重にかかる。まず保管コスト(倉庫代・管理費)、そして処分コスト(値引き・廃棄費用)だ。

ライブコマースはこの2つのコストを同時に削減できる。1回のライブで数百〜数千点の在庫を短時間で消化できれば、保管コストが日単位で削減される。そして値引き率も、廃棄コストと比較すれば「まだプラス」で処理できる。捨てる在庫に利益が乗るのだ。

中国(海外データ)の農産物ライブコマース事例では、タオバオライブの「農村ライブプロジェクト」が中国全土2,800県のうち2,200県で採用され、農産物の売上総額が60億元(約930億円)に達したという報告もある。農家・漁師・一次生産者にとっても、ライブコマースは単なる流通チャネルではなく、廃棄ロスを価値に変えるインフラになりつつある。

農家・漁師・メーカーが今すぐ試せる「在庫ライブ」実践ガイド

では実際に「在庫ライブ」を始めるにはどうすればいいのか。現場でできる手順を整理しよう。

ステップ1:プラットフォームを選ぶ

在庫処分・在庫消化を目的とするなら、現時点ではTikTok Shop(TikTokライブコマース)が最も高い購買転換率を示している。理由は3つ。

  • アルゴリズムによって「フォロワーゼロ」でも視聴者が集まりやすい
  • ライブ中にそのまま商品ページへ遷移・購買が完結する(離脱率が低い)
  • 「TikTokトクトクSALE」などの公式セール施策との連動で瞬間的な集客ブーストが可能

Instagram LiveやYouTube Liveも選択肢だが、これらはまだ購買導線がTikTok Shopほど洗練されていない。まずTikTok Shopで実績を作ってから他プラットフォームに展開するのが現実的だ。

ステップ2:「在庫ライブ」のシナリオを作る

ライブコマースで在庫を売り切るためには、単に「売ってます」と並べるだけでは不十分だ。以下の要素をシナリオに組み込もう。

  • 在庫の「ストーリー」を語る:「この商品、実は今期の製造ミスでパッケージだけ傷があるんです。中身はまったく同じ品質で、定価の30%オフでご提供します」という背景説明が、訳アリ品への抵抗感を取り除く。
  • 数字を見せる:「今この棚に○○個あります。なくなり次第終了」という数量の透明性がFOMOを引き起こす。
  • 配信限定クーポンを用意する:「今日のライブ視聴者だけが使えるクーポンコードを発行します」という仕組みがリピート視聴を促す。
  • Q&Aに丁寧に答える:視聴者のコメントを拾い、個別の疑問に答えることが信頼構築につながり、購買率を上げる。

ステップ3:配信環境を整える

高価な機材は不要だ。最低限必要なのはスマートフォン(カメラ)、安定したWi-Fi(またはモバイル通信)、照明(自然光でも可)の3つだけ。農家なら畑から、漁師なら港から、メーカーなら倉庫から配信できる。

「現場感」こそがライブコマースの最大の差別化要素だ。スタジオで撮影した綺麗な映像より、畑の土の匂いが伝わるような現場からのライブのほうが、視聴者の心を動かすことが多い。

ステップ4:継続する(最初の3回が勝負)

1回目のライブでいきなり大きな売上は期待しにくい。最初の3回でアルゴリズムへの露出度が上がり、視聴者も増えていく傾向がある。売上が出なかった初回に諦めず、週1〜2回のペースで継続することが重要だ。

アパレルメーカーの倉庫ライブも、1回目400万円から2回目500万円へと成長した。継続と改善のサイクルが在庫消化の加速につながる。

農家・メーカー・卸業者がライブコマースで在庫を売り切る流れ

知らないと乗り遅れる——TikTok Shopライブで「在庫ゼロ」を実現するために今すぐすべきこと

ここまで読んできて、「わかった、でも自分でやるのは難しい」と感じている方も多いだろう。その感覚は正しい。

ライブコマースで在庫を売り切るためには、①TikTok Shopのアカウント開設・商品登録、②クリエイター(ホスト)の確保、③ライブシナリオの設計、④アルゴリズムへの最適化、⑤クーポン・セール施策の設定——といった複数の専門スキルが必要だ。これを自社だけで一からやろうとすると、試行錯誤に数ヶ月、場合によっては1年以上かかることも珍しくない。

その間にも在庫は倉庫で眠り続ける。保管コストは毎月発生する。賞味期限や季節が迫る。

「自分でやる」より「プロに任せる」が合理的な理由

TikTok Shop販売代行の会社に依頼するという選択肢がある。プロに任せれば立ち上げ期間を大幅に短縮でき、すでに実績のあるクリエイターネットワークを使って初回からある程度の視聴者数を確保できる。

訳アリ品・過剰在庫の出口はSNSにあったでも解説したように、在庫問題に悩む事業者にとって「やり方を学んで自分でやる」より「実績のあるパートナーに商品を渡す」ほうが、時間対効果が圧倒的に高い場合が多い。

TORIHADAはTikTok Tier S広告クリエイティブパートナーとして、TikTokでの販売実績と専門クリエイターネットワークを持つ。メーカー・卸業者・農家・漁師など、在庫問題を抱えるあらゆる事業者の「在庫を売り切る」をサポートしている。

在庫を「負債」から「資源」に変える

ライブコマースの本質は、在庫を「捨てるしかないもの」から「今すぐ換金できる資源」に変えることだ。

  • 規格外の野菜 → 「農家直送・ちょっとだけ不格好でおいしい野菜セット」としてライブで限定販売
  • 過剰在庫のアパレル → 「倉庫放出セール」として配信限定価格で在庫一掃
  • 訳アリの加工食品 → 「パッケージ傷あり・中身同品質」として透明性をウリに完売
  • 季節落ちの家電・雑貨 → 「旧モデルだけど機能十分・新品未使用」として価値を再定義

ライブコマースは在庫を「語れる商品」に変える舞台だ。商品の背景・ストーリー・現場感を伝えることで、値引きしなくても売れることも多い。

日本のライブコマース市場は今まさに成長期にある。倉庫ライブで500万円を売り上げた事例のような成功が、今後さらに普及していくことは間違いない。乗り遅れる前に、今すぐ最初の一歩を踏み出してほしい。

「どんな商品が向いているのか」「どんな仕組みで販売できるのか」——まずは気軽にTORIHADAに相談してみてほしい。

この記事はAIを活用して書いています。

この記事を書いた人

TORIHADA POSTは、TikTok・YouTube・LINE VOOM・InstagramなどのSNSやインフルエンサーマーケティングに関する情報を発信していくサイトです。
SNSの最新情報やインフルエンサーのビジネス活用方法を多様な視点で提供していきます。

若井 映亮
株式会社TORIHADA CEO
【執筆実績】
・『ショートムービー・マーケティングTikTok が変えた打ち手の新常識』出版社:KADOKAWA (2021/12/22)
【メディア出演実績】
・TikTok にハマる理由 優秀なAI がユーザーを魅了する: 日経Biz Gate(2022/2/17)
・今さら聞けない バズる動画完全攻略セミナー:テレビ朝日 NEW ニューヨーク(2021/11/19放送)
・TikTokビジネス活用大全:新R25プレミアム講座

1989年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェントに入社してアドテク事業の責任者を経験。2017年10月にTORIHADAを取締役として共同創業。2020年4月には、TikTok MCN PPP STUDIOを設立。2023年時点では、総勢700組のショートムービークリエイターを抱える日本最大規模のクリエイター事務所としてクリエイターサポートを行う。自身もフォロワー5万人を超えるクリエイターの1人として、ショートムービー・プラットフォームを活用し、クリエイター目線を持って活動のサポートを行う。2022年12月からTORIHADA POSTの運営を開始。
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